設立趣意書
大阪日華親善協会設立趣意書
日本と中華民国の両国は、古来、同文同種の国として常に善隣の誼を結び、共栄の徳を重ねてまいったのでありまして、共に道義を重んじ、道統を継承して東洋文化を大成し、大いに世界文化に貢献してまいりましたことは、今さら申すまでもないところであります。
顧みますれば、戦後荒廃した日本は、僅か二十年にして目覚ましい復興と繁栄をとげ、国際社会に大きな役割を果たしていますことは、誠に御同慶に堪えません。これは、もとより日本国民の非常な努力の賜でありますが、善意ある諸外国の援助、ことに中華民国蔣総統の道義に基づく大英断に負うことが極めて大きいことを忘れてはなりません。
すなわち、終戦直後、対日理事会の一部には日本を分断管理する提議がなされたのでありますが、断固として之に反対し、アメリカと協力して日本の統一独立を主張されたのが蔣総統でありました。それのみならず、中華民国は日本に対する一切の賠償請求権を放棄し、当時大陸にあった二百数十万人の日本軍人ならびに一般日本人を無事に帰還させたのであります。このことが今日の日本の復興に大きな力となったことは申すまでもありません。
翻って中華民国政府と中華民国国民は、今、内に大陸光復の大事業と斗い、外に国際連合の一員として世界平和と東洋安定のために国運をかけて奮斗しているのであります。
この時に当たって、中華民国との国交をますます厚くし、相互の親善と協力を深め、日本の困難の時に寄せられた中華民国政府と中華民国国民の友情に報ゆることは、日本国民の道義的義務であるばかりでなく、かくして始めて、日本国民に対する中華民国国民と心ある東洋諸民族の信頼をつなぎ、相携えて東洋の安定繁栄と世界平和に寄与する確固たる基礎が築かれるのでありましょう。
かような意味で大阪日華親善協会を設立し、まず大阪府民と、大阪府在住の中華民国国民との提携親善をはかり、進んで日本国民と中華民国国民との、経済、貿易、文化各般に亘る協力交流の実をあげたいと存ずるのであります。
何卒右の趣意に御賛同を賜わり、御協力くださるようにお願い申し上げます。
一九六六年九月十二日